47都道府県を見渡すと、多くの県では県庁所在地近郊、もしくはアクセス至便な平野部に空港が配置されています。それにもかかわらず、人口約35万人の和歌山市周辺に「和歌山空港」が存在しないのはなぜでしょうか。そこには、半世紀以上にわたる交通政策の変遷と、地形的な必然性があります。
疑問の根底にある和歌山空港 なぜない 理由を紐解くと、最大の要因は大阪湾南部に浮かぶ海上空港、関西国際空港の存在に行き着きます。関西国際空港の敷地南部(泉南郡田尻町・泉南市エリア)は和歌山県境までわずか10数キロメートルの距離に位置しており、直線距離で見れば和歌山市中心部から約25キロメートル圏内に収まります。国および大阪湾周辺自治体の総合開発ビジョンにおいて、関空は当初から泉州・和歌山地域をも包含する広域ハブとして位置づけられていました。
これには和歌山 空港計画 経緯における苦渋の選択と合理的な判断が反映されています。かつて高度経済成長期から昭和後期にかけて、和歌山県北部平野部(紀の川流域や臨海部)にも独自の空港適地を求める議論が一部で持ち上がった時期がありました。しかし、和歌山市を取り囲む和泉山脈の険しい稜線が航空機の進入路設定において大きな障壁となった上、臨海部の工業地帯や過密な市街地を避けて長大な滑走路を造成するには莫大な用地買収費と環境負荷が懸念されたのです。
さらに1980年代、関西国際空港の建設計画が具体化するプロセスにおいて、和歌山県は巨額の投資を伴う独自空港の新設を断念し、関空へのアクセス鉄道・道路網の整備に経営資源を集中させる方針を固めました。「独自空港を持たない代わりに、巨大な国際ハブ空港を隣県至近に持つ」という戦略を選択した結果が、現在の交通インフラ網の礎となっています。