ファンの間で最も熱い議論を巻き起こし続けているのが、「月詠と坂田銀時は最終的に結ばれたのか」という疑問です。作中において月詠は、神楽やお妙といった初期メンバーとは一線を画す、明確な「異性としての好意」を銀時に向ける描写が幾度となく描かれました。
象徴的なエピソードが、コミックス同梱版アニメ(OAD)としても大きな話題を呼んだ「愛染香篇」です。嗅いだ者が最初に目にした人物に恋情を抱くという秘薬「愛染香」の煙を吸った月詠は、普段のクールな態度を完全に失い、銀時に対して素直な甘えと乙女心を露呈させます。幻覚の作用が解けた後も、夕暮れ時の屋根の上で月詠が銀時の背中に向けて呟いた言葉や、見せた切ない表情は、薬の影響を超えた本物の情愛を強く印象づけました。
また「一国傾城篇」では、銀時と月詠が互いの信頼をもとに息の合った共闘を展開。銀時が傷を負った際には月詠が身を挺して庇い、月詠が危機に陥れば銀時が必ず駆けつけるという強固なバディ関係が構築されていきました。
迎えた原作最終回(第704訓)および劇場版『銀魂 THE FINAL』において、二人の関係はどうなったのでしょうか。結論から言えば、公式に「交際した」「結婚した」という直接的な描写はありません。銀魂という作品全体が掲げる「万事屋の日常と魂の繋がり」を最優先とする美学に基づき、明確な男女の恋愛関係としての決着はあえて描かれませんでした。
しかし、最終回後のエピローグにおいて、月詠は吉原の新たなリーダーとして復興を牽引しつつ、銀時がふらりと戻ってきた際には相変わらずの酒乱とツンデレな対応で彼を迎えています。恋人という枠組みを超え、「互いの生き様を誰よりも深く理解し、背中を預け合える戦友」としての絆に着地したこの幕引きは、安易な恋愛エンド以上の深い余韻を残しました。