華々しい活躍を続ける藤木直人ですが、その人格形成とキャリア選択の根底には、幼少期から青年期にかけて抱き続けた兄に対する根深いコンプレックスがありました。
子供の頃の真人氏は、社交的でリーダーシップがあり、勉強もスポーツも器用にこなす「万能型」でした。対照的に直人は内向的で人見知りが激しく、何をしても兄の影に隠れてしまう感覚に苛まれていたといいます。当時のインタビューや手記でも、周囲から常に「真人くんの弟」と比較される日々に強いフラストレーションを覚えていた心情が明かされています。
しかし、この強烈なライバル心こそが彼の人生の起爆剤となりました。
高校時代、兄が始めたギターに触発されて音楽に没頭。兄に負けたくない一心で勉強にも打ち込み、難関である早稲田大学理工学部情報工学科への現役合格を掴み取ります。さらに大学在学中、「兄とは全く違う、自分だけのアイデンティティを確立したい」という思いから『メンズノンノ』のモデルオーディションへ応募。これがきっかけとなり、映画『花より男子』(1995年・花沢類役)での俳優デビューへと繋がっていきました。
兄という巨大な壁を乗り越えようともがき続けたプロセスこそが、表現者・藤木直人を形作った真の原点だったのです。