インターネット上や舞台アーカイブに遺された初代藤間紫の昔の姿を目にした現代の若い世代からは、「昭和の女優の中でずば抜けて美しい」「妖艶さと気品が同居していてCGのよう」といった驚きの声が絶えません。モノクロ写真でありながら際立つ陶器のような滑らかな肌、すっきりと通った高い鼻梁、そして見る者を射抜くような強い意志を宿した切れ長の瞳は、まさに「絶世の美女」と呼ぶにふさわしいオーラを放っています。
彼女の美しさは、単なる造形の良さにとどまりませんでした。12歳から叩き込まれた日本舞踊の身体技法によって培われた完璧な姿勢、首筋から指先に至るまでの繊細な身のこなしが、立ち姿そのものに神々しいまでの気品を与えていたのです。戦後、銀幕の女優として映画や舞台に進出した際も、その圧倒的な美人画のごとき存在感は映画監督や演劇関係者を唸らせ、日本舞踊の枠を飛び越越えた大衆的人気を博しました。
当時の舞台評や雑誌インタビューを振り返ると、彼女は自身の容姿について「舞台人は内面から滲み出る覚悟が顔を作る」と語っていました。若き日から芸の道で生き抜くために払った過酷な鍛錬と、自らの美学を曲げない不屈の精神こそが、時を経ても色褪せない美貌の源泉となっていたことが分かります。