ネット上の簡易弾き語りサイトなどで多発している誤解が、分数コード仕組みとテンションコード一覧の扱い方です。ここを誤読していると、楽曲本来の美しいコード進行を台無しにしてしまう恐れがあります。
まず、分数コード(オンコード)の表記例である「C/G」や「C on G」についてです。ネット上では「CとGのコードを同時に弾くのか」「右と左のどちらが本体なのかわからない」といった混乱が散見されます。
正解は極めてシンプルです。「分子(スラッシュの左)がコード本体」「分母(スラッシュの右)が一番低いベース音(最低音)」を示しています。つまり「C/G(シー・オン・ジー)」であれば、右手や左手の押弦フォームは「Cメジャーコード」を弾きつつ、その中で鳴らす最も低い音を通常のC(ド)ではなく「G(ソ)」に指定していることを意味します。このベース音の指定により、ベースラインが滑らかに下降・上昇する洗練されたコード進行が実現します。
もう一つの盲点が「add9(アドナイン)」や「9th」「11th」「13th」といったテンションコードの解釈です。「指が足りなくて絶対に押さえられない」と諦めてしまう人が多いですが、プロの現場では「省略の美学」が常識として用いられています。
ギターは弦が6本しかない物理的制約があるため、5音以上のテンションコードを演奏する際、楽曲の響きに影響が少ない「5度(完全5度)」の音を意図的に省いて押さえます。コードネームに書かれたすべての音を無理に押さえ込もうとする必要はなく、ルート音とキャラクターを決定づける音(3度やテンション音)だけを選択的に鳴らすのが実践的な真実です。