ネット上のQ&AサイトやSNSで定期的に見かけるのが、「レンタカーを借りて返却するまでずっとBレンジで走っていた」「気づかずに高速道路をBレンジのまま数百キロ走ってしまったが大丈夫か」という体験談です。
結論として、平坦路や高速道路でBレンジに入れっぱなしにして走行しても、現代の自動車のエンジンやモーターが即座に故障することはありません。近年の車両はトランスミッションの過回転や過熱を防ぐ電子制御リミッターが組み込まれており、致命的なメカニカルトラブルには至らないよう設計されています。
しかし、走行フィーリングと燃費性能には看過できない悪影響が顕著に現れます。実際に自動車専門メディアやオーナーの検証データから報告されている弊害は以下の2点に集約されます。
第1に、平坦路巡航時における燃費の大幅な悪化です。ハイブリッドカーが優れた実燃費を叩き出せる最大の理由は、一定速度に達した後にアクセルをわずかに緩め、エンジンを停止させたまま惰性で滑るように走る「コースティング(滑空走行)」を駆使することにあります。しかし、Bレンジに入れっぱなしにしていると、アクセルペダルを緩めるたびに強力な減速度が立ち上がって失速してしまいます。ドライバーは失われた車速を取り戻すために再び深くアクセルを踏み込むことになり、「余計な減速と無駄な再加速」を延々と繰り返す結果、市街地走行の実燃費が通常時よりリッターあたり3km〜5km(約15%前後)落ち込むという現場データが実証されています。
第2に、運転ストレスと乗り物酔いのリスクです。アクセルのわずかな足の戻し加減に対してクルマが過敏に前かがみの減速挙動を示すため、同乗者の首や頭が常に揺さぶられることになります。特に長距離ドライブにおいて、ドライバー本人は気づかぬうちに疲労が蓄積し、同乗者が車酔いを引き起こす原因の大半がこの「アクセルオフ時の過剰な減速度」に起因しています。