本作の評価を決定づけたのは、キャスティングの妙でした。放送開始前、一部のネット上では「バラエティタレントの初主演に対する懸念」や「LDH所属の人気アイドルと芸人の組み合わせに対する懐疑的な視線」が散見されました。しかし、第1話が放送されるや否や、そうした雑音は称賛の声へと一変しました。
綾子を演じた福田麻貴は、単に笑いを取りにいく演技ではなく、自信のなさとプライドの高さが同居する30代女性の機微を極めてナチュラルに体現しました。過剰なデフォルメを避け、視聴者が「これ、私のことだ」と感じてしまうような生々しい視線やため息の演技は、プロの役者陣からも高く評価されました。
一方、山田役を務めた八木勇征の好演も作品の大きな推進力となりました。一歩間違えれば視聴者から嫌悪感を抱かれかねない「クソ男」という難役に対し、八木は天性の無邪気さと切なさを同居させました。SNS上では「八木勇征のビジュアルだからこそ山田の身勝手さが許せる」「ウザいのにいなくなると耐えられない」といった声が溢れ、回を追うごとにふたりの掛け合いは熟練の漫才コンビのようなテンポと親密さを獲得していきました。
さらに、水曜日のカンパネラが手掛けた主題歌「Ghost」の存在が作品のトーンを決定づけました。幽霊というオカルト要素をポップでファッショナブルな日常へと引き戻し、切ない展開のあとでも前を向かせる爽快なリズムは、エンドロールを迎える視聴者の感情を完璧に包み込んでいました。