ドラマ放送開始直後、インターネット上を埋め尽くしたのは失望と困惑の声でした。「英和辞書を片手にデスノートの使い方を読む月」「地下アイドルのライブでサイリウムを振る月」という描写は、原作ファンの思い描く冷徹な天才像とはあまりにかけ離れていたためです。
しかし、物語が進行するにつれ、そうした猛烈な批判は完全に沈黙することになります。その起爆剤となったのが、窪田正孝さんの夜神月が見せた鬼気迫る演技力でした。
ドラマ版の月は、最初から悪のカリスマではありませんでした。暴力に脅える一市民が、偶然手に入れた殺意のノートによって自らの手を汚し、その恐怖を正当化するために「キラ」という神を自作自演していく過程が描かれます。窪田さんは、良心の呵責に震える青年の表情から、瞳の光が抜け落ち、顔面の筋肉を不気味に歪ませて高笑いする狂気の怪物への変貌を、凄まじいグラデーションで体現しました。
当時の制作特番やインタビューにおいて、現場関係者は「窪田さんはカメラが回っていない瞬間でも月の精神状態と同化し、異様な集中力を漂わせていた」と証言しています。視聴者は毎週、画面越しに魂を削りながら堕ちていく青年の哀しきリアリズムを目撃することになり、最終回を迎える頃には「窪田正孝以外の月は考えられない」と絶賛する声がネットの主流を占めるに至りました。