芽ネギ寿司の発祥とは?静岡浜松の元祖秘話と将太の寿司の真相

芽ネギ寿司の発祥とは?静岡浜松の元祖秘話と将太の寿司の真相

芽ネギ寿司の発祥とは?静岡浜松の元祖秘話と将太の寿司の真相の詳細について、専門知識を詳しくお届けします。

現在では全国各地の寿司店で見かける芽ネギ寿司ですが、その発祥の店として知られるのが、静岡県浜松市に店を構える老舗寿司店「寿司芳(すしよし)」です。誕生の時期は昭和50年代後半から60年代初頭にかけて。当時、全国屈指のネギ産地であった浜松において、新たな水耕栽培技術によって極めて繊細な「芽ネギ(別名:姫ネギ)」の栽培が本格化していました。

当時の芽ネギは、料亭でお造りのあしらいや、高級料亭のお吸い物の吸い口としてごく少量使われる程度の高級薬味でした。単価は高いものの用途が限られており、出荷先の拡大に頭を悩ませていた地元の生産農家が、「この瑞々しく柔らかい芽ネギを、贅沢に使った寿司ネタにできないか」と寿司芳の店主に持ち込んだことがすべての始まりでした。

しかし、相手は極細の若芽です。魚のように自然とシャリに密着するわけでもなく、そのまま握ればバラバラとほどけてしまいます。さらに、ネギ特有の爽快な辛味はあるものの、魚介が持つような濃厚な脂やアミノ酸のうま味がありません。「ただシャリに乗せただけでは寿司として成立しない」という大きな壁に直面した職人は、試行錯誤を重ねました。

そこで考案されたのが、「シャリと芽ネギの間に削り節(かつお節)を忍ばせ、海苔の細帯で優しく留める」という技法です。かつお節が芽ネギの余分な水分を受け止めつつ豊かなイノシン酸を補い、海苔の香りとグルタミン酸が全体を調和させる――。農家の情熱と職人の探求心が結実し、青臭さを完全に昇華させた至高の一貫が浜松の地で産声を上げました。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。