幾何学的に整然と並ぶ岩の筋を目にすると、「人工的に削り出された石段ではないか」と錯覚する観光客も少なくありません。しかし、この景観は悠久の歳月と地球の地殻変動が生み出した完全な自然の産物です。正式名称は「青島の隆起海蝕痕と奇形波蝕痕」として、国の天然記念物に指定されています。
鬼の洗濯板 なぜできた 成り立ちを紐解くと、始まりは約700万〜1000万年前の新第三紀中新世から鮮新世に遡ります。当時の海底に、砂が堆積してできた硬い「砂岩層」と、泥が堆積してできた軟らかい「泥岩層(頁岩層)」が、交互に積み重なる「互層(ごそう)」が形成されました。
その後、九州一帯の激しい地殻変動によって地層全体が約20〜30度の角度で傾斜した状態で海上へと隆起。太平洋の荒波が容赦なく打ち寄せ続ける過程で、軟らかい泥岩層だけが波によって激しく削り取られ、硬い砂岩層が板状に残されました。その結果、まるで巨大な洗濯板のような、規則正しい凹凸の奇岩群が日南海岸沿い約8kmにわたって露出したのです。