近年、腸内フローラ研究が進むにつれて、「菌を取り入れれば取り入れるほど健康になる」という単純な善玉菌信仰に警鐘を鳴らす専門家が増えています。過剰な整腸剤摂取やサプリメントの乱用は、かえって腸内環境が乱れる原因を作り出してしまう盲点があるのです。 その代表例が、近年消化器領域で注目されている「SIBO(小腸内細菌増殖症)」との関連性です。 本来、腸内細菌の大部分(約100兆個)は大腸に生息しており、胃酸や胆汁の殺菌作用、小腸の強い蠕動運動によって小腸内の細菌数は非常に少なく保たれています。ところが、消化管運動の低下や制酸薬の常用、さらには過剰な生菌製剤の摂取が重なると、本来菌が少ないはずの小腸内で乳酸菌やビフィズス菌が増殖してしまう現象が起こります。 小腸内で細菌が異常増殖すると、食事として摂取した炭水化物が小腸の早い段階で発酵分解されてしまい、大量の水素ガスやメタンガスが発生します。その結果として現れるのが、以下の深刻な症状です。 * 食後すぐの強烈な腹部膨満感とみぞおちの苦しさ * 頻繁に漏れ出る抑えきれないおならやゲップ * 慢性的な下痢または難治性の便秘の固定化 * 栄養素(特にビタミンB12や鉄分)の吸収阻害による慢性疲労 「腸内環境を良くしたい」と願って飲んでいた乳酸菌や酪酸菌が、過剰摂取によって小腸の機能を麻痺させ、逆に消化吸収システムを崩壊させてしまう皮肉な結果を招くケースです。「善玉菌」と呼ばれる菌であっても、定着すべき場所と適切なバランスを逸脱すれば、生体にとっては異物や負担になり得るという冷厳な事実を認識しなければなりません。
整腸剤を飲み過ぎると下痢・腹痛が悪化?医師が明かす副作用と真実
•
•
1分で読める