オウム真理教空中浮遊のトリックと種明かしを理解する上で外せない概念が、ヨーガの世界で古くから知られる「ホッピング(座禅ジャンプ)」です。教団はこの現象を、サンスクリット語の古典に由来する「ダルディ・シッディ(蛙の跳躍に似た超能力)」と称し、解脱へと至る修行の第2段階であると信奉者たちに刷り込みました。
座禅ジャンプの仕組みと理由は、極めて筋肉質かつ物理的な生理現象です。両足を太ももの上に深く組む結跏趺坐をとると、骨盤が強固にロックされ、下半身全体が一つの強靭な「バネ」のような構造になります。この状態で大臀筋、腸腰筋、大腿四頭筋を激しく収縮させ、骨盤と膝を畳に叩きつけるように反動をつけると、鍛錬を積んだ人間であれば数十センチメートルほど身体を跳ね上げることが可能です。
元信者らの証言によると、道場では信者たちに毎日何百回もの座禅ジャンプを命じており、道場の畳が擦り切れ、膝や足首から血を流す修行者が続出していたと記録されています。麻原自身も当時は体重が比較的軽く、鍼灸師としての修行や自己鍛錬を通じて下半身の瞬発力を備えていたため、反動をつけて飛び跳ねる技術に長けていました。超常現象ではなく、血のにじむような筋力トレーニングによって成立していた跳躍運動を、教団は「ヨーガの秘術で浮遊した」と偽り、巧妙なプロパガンダへと仕立て上げたのです。