松本典子のキャリアを語る上で欠かせないのが、国民的コメディアン・志村けんさんとの絆です。1987年にスタートしたフジテレビ系バラエティ番組『志村けんのだいじょうぶだぁ』において、彼女は単なる「マスコット的なアイドル枠」を遥かに凌駕する存在感を放ちました。
当時のコント現場は、アドリブに見えて実は1ミリ単位の間や視線の配り方が緻密に計算されたプロフェッショナルの戦場でした。志村さんが演じる強烈なキャラクターに対し、松本典子は白目を剥く変顔やパイ投げを一切ためらわず、しかも天性の愛嬌を失わないという離れ業をやってのけました。特に志村さんとの夫婦コントでは、日常にいそうな少し勝気で愛情深い若妻を見事に演じ切り、お茶の間の爆笑を誘いました。
関係者の回想録によると、志村さんは彼女のリズム感の良さと「相手のボケを絶対に殺さない受けの技術」を極めて高く評価していたといいます。2026年に志村さんが急逝した際にも、彼女が寄せた追悼の辞には師弟関係にも似た深い感謝と敬意が溢れていました。コメディの現場で培った柔軟性と物怖じしない精神力は、現在の保育現場やトークイベントでも彼女を支える揺るぎない財産となっています。