香川県木田郡三木町池戸の県道沿い。静けさが残る早朝の空気に、ふわりと漂ういりこダシの香りが漂います。多田製麺所の前にできる朝の行列は、いまや三木町の朝の風物詩です。人々が朝早くから足を運ぶ最大の理由は、「茹で上がった瞬間の最もみずみずしい麺」に出会えることにあります。
一般的な飲食店と異なり、製麺所としての役割が主軸にある同店では、朝からフル稼働で麺が打たれ、大きな釜で次々と湯がかれていきます。小麦の甘みが立ち上る打ちたての麺は、しなやかな弾力とつるりとした喉越しが別格です。朝一番の釜から揚がったばかりのうどんをすすった瞬間、そのみずみずしさとコシの心地よさに思わず息を呑むファンが後を絶ちません。
さらに、地域住民の生活インフラとして根付いている点も見逃せません。出勤前の一杯を楽しむ常連客や、朝食代わりに立ち寄る近所の方々の日常に溶け込んでおり、観光地化されすぎていない純朴な讃岐の原風景がここには息づいています。