厚塗りが上手く描けない理由とは?立体感を生むプロの技法と設定を完全解剖

厚塗りが上手く描けない理由とは?立体感を生むプロの技法と設定を完全解剖

厚塗りが上手く描けない理由とは?立体感を生むプロの技法と設定を完全解剖について専門的な視点から解説いたします。最新の情報をお届けします。

キャラクターイラストの成否を分ける「肌」と「髪の毛」の質感表現において、厚塗りならではの具体的な工程を解説します。

肌の塗り方:皮下散乱(スキャッタリング)とエッジの制御

肌を塗る際のポイントは、硬い骨が存在する部分(頬骨、鼻筋、顎)と、柔らかい脂肪や筋肉の部分(頬、唇、首筋)でエッジのシャープさを使い分けることです。

鼻や頬の明暗境界線には、光が皮膚の内部で散乱して赤く光る現象(サブサーフェス・スキャッタリング)を再現するため、細い高彩度の赤オレンジ色の帯を薄く挟み込みます。この1ストロークがあるだけで、厚塗り特有の重苦しさが消え、みずみずしい透明感が劇的に宿ります。

髪の毛の塗り方:ディテールに逃げず「塊」から彫り出す

髪の毛を描く際、最初から細い毛束を1本ずつ描き込んではいけません。厚塗りにおける髪の毛の描画ステップは「大・中・小」の法則に従います。

ステップ1(大):頭部全体を1つの球体として捉え、大きな光と影のグラデーションを太いブラシで大雑把に置く。
ステップ2(中):前髪、横髪、後ろ髪の主要なブロック(房)に分け、房ごとの影を中型ブラシで彫り出す。
ステップ3(小):房の重なり部分にアンビエントオクルージョン(隙間の強い影)を落とし、最後に細いカスタムブラシで「光を反射するこぼれ毛」や「輪郭から飛び出す遊び毛」を数本だけ描き足す。

この順序を守ることで、情報量の密度を保ちながらも、全体としてまとまりのある立体的なシルエットが完成します。

中村 さくら
著者

中村 さくら

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。