キャラクターイラストの成否を分ける「肌」と「髪の毛」の質感表現において、厚塗りならではの具体的な工程を解説します。
肌の塗り方:皮下散乱(スキャッタリング)とエッジの制御
肌を塗る際のポイントは、硬い骨が存在する部分(頬骨、鼻筋、顎)と、柔らかい脂肪や筋肉の部分(頬、唇、首筋)でエッジのシャープさを使い分けることです。
鼻や頬の明暗境界線には、光が皮膚の内部で散乱して赤く光る現象(サブサーフェス・スキャッタリング)を再現するため、細い高彩度の赤オレンジ色の帯を薄く挟み込みます。この1ストロークがあるだけで、厚塗り特有の重苦しさが消え、みずみずしい透明感が劇的に宿ります。
髪の毛の塗り方:ディテールに逃げず「塊」から彫り出す
髪の毛を描く際、最初から細い毛束を1本ずつ描き込んではいけません。厚塗りにおける髪の毛の描画ステップは「大・中・小」の法則に従います。
ステップ1(大):頭部全体を1つの球体として捉え、大きな光と影のグラデーションを太いブラシで大雑把に置く。
ステップ2(中):前髪、横髪、後ろ髪の主要なブロック(房)に分け、房ごとの影を中型ブラシで彫り出す。
ステップ3(小):房の重なり部分にアンビエントオクルージョン(隙間の強い影)を落とし、最後に細いカスタムブラシで「光を反射するこぼれ毛」や「輪郭から飛び出す遊び毛」を数本だけ描き足す。
この順序を守ることで、情報量の密度を保ちながらも、全体としてまとまりのある立体的なシルエットが完成します。