音楽理論の観点から本作を紐解くと、日本人の琴線に強く訴えかける構造美が浮かび上がります。『夢は終わらない』のサビ部分には、J-POPのヒットナンバーで多用される「IV - V - IIIm - VIm」(いわゆる王道進行)を基軸としたコード進行が採用されています。
キーがFメジャー(ヘ長調)の場合、「B♭ - C - Am - Dm」というカデンツを描くことで、高揚感と切なさが絶妙なバランスで同居します。とりわけ秀逸なのは、サビの最高音へと駆け上がる瞬間のメロディ跳躍です。下降するベースラインと対旋律のように上昇するボーカルが交差することで、聴き手の感情を強く揺さぶるドラマツルギーが完成しています。
さらに、間奏から大サビにかけて施された転調は、閉塞した状況から視界が開けるような開放感をもたらします。90年代ビーイング系や小室ファミリーの台頭に見られたキャッチーなフックと、歌謡曲由来の情緒的な湿り気が融合したこの構成こそ、何世代を経ても古びない普遍性を生み出している根拠です。