時を遡れば、すべての原点はCOAT社が制作したビデオ作品『真夏の夜の淫夢』に登場する人物、野獣先輩に行き着く。匿名のネットユーザーたちがその映像から背景を切り抜き、ブルーバック形式の「BB素材」としてネット上に配布したことが、後年の爆発的な動画制作の種子となった。
背景を透過された素材は、あらゆる画像や音楽と合成可能なフリーパーツへと変貌を遂げた。動画編集ソフトの普及とともに参入障壁が下がり、アマチュアのクリエイターたちが自由に映像をコラージュして独自の表現を競い合う土壌が完成したのである。一企業の作品が、数十年を経てネット表現の共通言語へと転化した例は、デジタル史を見渡しても極めて珍しい。