ポン・ジュノ監督が描く独特のユーモアと、底知れぬ人間の業。そこにイ・ジョンジェの鬼気迫る演技が合わさることで、作品は極限のサスペンススリラーへと昇華した。劇中で彼が見せるわずかな目の動きや息遣い一つで、観客の心拍数は一気に跳ね上がる。主演俳優としての格を見せつけた形だ。
だが、その凄まじい完成度ゆえに影も落ちる。一部の映画ファンからは「重厚すぎるテーマが息苦しい」「エンタメとしての爽快感が足りない」といった困惑の声も上がった。重厚な社会批評とエンタメ性の黄金比率をどう保つのか。巨匠と名優のタッグだからこそ背負わされた期待の大きさが、そのまま評価の賛否両論へと直結している。