フェリーターミナルから車を走らせること約20分。沓形地区の静寂を破るように、そこだけが異様な熱気に包まれている。店が開くのは昼のわずか数時間。だが、開店前から敷地内には色とりどりのアウトドアウェアに身を包んだ旅行者や、カメラを抱えた海外からの渡航者が列をなす。
「この一杯のためだけに、昨日からフェリーの運航状況を何度もチェックしていました」。東京から訪れたという30代の旅行者は、息を弾ませながらそう語った。欠航のリスクと常に隣り合わせの離島旅。だからこそ、暖簾をくぐった瞬間の達成感は他では味わえない。