SNSや大手知恵袋などの相談コミュニティを定点観測すると、「優秀な同僚のお子さんを褒めるつもりで『蛙の子は蛙ですね』と言ったら、周囲の空気が凍りついた」という悲劇的な体験談が後を絶ちません。なぜ、このような痛烈なすれ違いが起きてしまうのでしょうか。
結論から言えば、「蛙の子は蛙」を他者に向けて使うことは、相手に対する直接的な悪口・侮辱と受け取られます。この言葉の深層には「親が平凡なのだから、その子どもが優れているはずがない」という侮蔑的な前提が存在しているためです。
仮に優秀な成績を収めた知人の子どもに対して「さすが蛙の子は蛙!」と言った場合、発言者は「親が素晴らしいから子も素晴らしい」という文脈のつもりであっても、言葉の定義上は「あなた(親)はカエル(凡人)であり、子どももカエル(凡人)に過ぎない」と宣告していることになります。これは親と子の双方を同時に見下す極めて失礼な発言に他なりません。
このことわざを適切に運用できるシチュエーションは、基本的に「自分自身や自分の子どもを謙遜・自虐する場面」に限定されます。
「うちの息子も私に似て運動音痴でね、まあ蛙の子は蛙ですよ」と周囲を和ませるために自嘲気味に使うのが、日本語としての正しい作法です。目上の相手や他家の親子に対して親愛の情を伝えたい場合は、「お父様譲りの素晴らしい才能ですね」「ご両親の背中をしっかり見て育たれたのですね」といった直接的で敬意の込もった言葉を選択しなければなりません。