徒然草の兼好法師はどんな人?皮肉屋で世渡り上手な素顔と出家の真相

徒然草の兼好法師はどんな人?皮肉屋で世渡り上手な素顔と出家の真相

徒然草の兼好法師はどんな人?皮肉屋で世渡り上手な素顔と出家の真相の背景について、最新情報を基に徹底解説します。

仏門に入った身でありながら、『徒然草』の中で兼好法師が執拗なまでに語っているのが男女の関わりについてです。彼の兼好法師の女性観は、極めて現実的で辛辣、かつ独特の審美眼を持っています。

第107段において彼は「女というものは、心がひねくれていて、欲深く、知恵が足りず、情に流されやすい」と手厳しく切り捨てています。現代のジェンダー観から見れば問題視される過激な表現ですが、文章はそこで終わりません。続けて「だが、どんなに知恵ある男でも、女の魅力には迷わされずにはいられない。それこそが女の恐ろしさであり、魅力なのだ」と結んでいます。女性を神聖視も全否定もせず、その魔力を計算に入れながら付き合うべきだという、極めてプラグマティックな観察です。

こうした男女の心理の機微を知り尽くしていたからこそ、生まれた有名な伝説が軍記物語『太平記』巻21に記された足利幕府の執事・高師直(こうのもろなお)の恋文代筆エピソードです。室町幕府の実力者である高師直が、人妻である塩冶高貞(えんやたかさだ)の妻に横恋慕し、当代随一の文筆家であった兼好法師に熱烈なラブレターの代筆を依頼しました。

兼好は見事な名文の手紙を書き上げましたが、相手の女性は一瞥しただけで庭に捨ててしまいます。プライドをへし折られた高師直は「兼好の文が下手だったせいだ」と八つ当たりし、兼好は慌てて屋敷から逃げ出したという滑稽な顛末が描かれています。『太平記』の記述には創作も含まれるとされますが、当時の権力者たちが「恋愛の代筆や文芸の指南役なら兼好に頼め」と考えるほど、彼が世俗のドロドロとした色恋沙汰にも精通していたことの動かぬ証拠といえます。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。