ネット上の情報や一部の動画コンテンツでは、「痛みに耐えて強くグリグリ押し込むほど老廃物が流れて効果が出る」といった極端な表現が散見されます。しかし、これは東洋医学的にも解剖学的にも極めて危険な誤解です。
耳の皮膚は極薄であり、その直下には血流に乏しい軟骨が存在します。指先や硬い金属棒で力任せに圧迫し続けると、皮下出血を起こすだけでなく、「耳介軟骨膜炎」という難治性の炎症を引き起こすリスクがあります。また、強すぎる刺激は交感神経を無駄に刺激し、血管を収縮させてしまうため、リラックスや血流改善という本来の目的と正反対の結果を招きます。
もう一つの盲点は、刺激後の「身体のだるさ」に対する解釈です。耳のマッサージやツボ刺激の直後、一時的に身体が重くなったり、眠気に襲われたり、局所がポカポカと赤くなったりすることがあります。これは滞っていた血流が急速に再開し、副交感神経が優位になったことによる「好転反応(身体の自己治癒プロセス)」の一種です。通常は半日から1日程度で抜けてスッキリした感覚へと移行します。
ただし、数日経っても耳の痛みが引かない場合や、触れなくてもズキズキと脈打つような痛みがある場合は、つぼの刺激による好転反応ではなく、組織の挫傷や感染症を疑う必要があります。