ペットショップの販売促進トークやネット上の安易なまとめ記事によって広まった最大の誤解が、「抜け毛が少ない犬は手入れが簡単」という言説です。客観的なファクトに基づき、毛が抜けない犬 デメリット 評判の裏にある構造的なトレードオフを直視する必要があります。
抜け毛が多い犬種(柴犬など)の場合、被毛管理の基本は「抜け落ちた毛をブラシで掻き出し、室内の掃除機をかけること」です。これは飼い主自身の時間と体力を消費する作業ですが、金銭的な支出は基本的にブラシ代と掃除機の電気代程度に収まります。一方で、毛が抜けない犬種は被毛のセルフコントロールが不可能なため、「定期的なプロによるトリミング施術」が生命維持管理上の必須コストとして組み込まれます。
小型犬であってもカット費用は1回あたり7,000円から15,000円が相場であり、年間に換算すると最低でも10万円前後、シニア期までの15年間で150万円以上のトリミング費用が確実に発生します。これに加えて、毛玉を防止するための専用スリッカーブラシやコーム、保湿ローションなどのケア用品費用もかさみます。つまり、「抜け毛の掃除の手間」を「生涯にわたる高額な維持費と毎日のコーミング義務」へと転換しているに過ぎないのです。
また、アレルギー対策としての過信も危険です。抜け毛が散乱しないことで空気中の浮遊アレルゲンは低減しますが、犬の唾液がついた玩具に触れたり、顔を舐められたりすることで皮膚炎や喘息発作を起こす可能性は残ります。「この犬種ならアレルギー持ちでも100%安全」という宣伝文句は医学的な根拠を欠いており、事前の接触テストを怠った結果として手放さざるを得なくなる悲劇が今なお発生しています。