私たちが抱く下士官のイメージの多くは、名作映画やドラマによって形作られてきた。最も象徴的な例が、映画『フルメタル・ジャケット』に登場するハートマン軍曹だろう。新兵たちを罵倒し、徹底的な精神的・肉体的負荷をかけて一人前の兵士へと叩き直す姿は、下士官の持つ「鬼教官」としての側面を強烈に焼き付けた。
一方で、Netflixなどの動画配信プラットフォームで今なお根強い支持を集める戦争ドラマ『バンド・オブ・ブラザース』では、まったく異なる下士官像が描かれている。第2次世界大戦の欧州戦線を舞台に、兵士たちと同じ泥水をすすり、将校と兵の板挟みになりながらも仲間を守り抜く曹長たちの姿は、極限状態における下士官の本質――「命を預けられる現場のリーダー」としての実像を生々しく伝えている。