味噌、醤油、みりん、酢、そしてぬか漬け。日本の台所は、微生物の活動拠点そのものだ。多湿な風土を逆手に取った発酵食品の多様性は、世界でも類を見ない。
麹菌(アスペルギルス・オリゼ)の働きによってタンパク質はアミノ酸へ、デンプンはブドウ糖へと分解され、芳醇な香りと消化吸収の良さが生まれる。それだけにとどまらない。植物性乳酸菌や酵母、多様な発酵代謝産物は、生きたまま、あるいは死菌として腸に届き、固有のマイクロバイオーム(腸内細菌叢)を劇的に豊かにする。短鎖脂肪酸の生成を促し、免疫細胞の暴走を抑える腸内環境の基盤。それはサプリメントを何粒飲み干すよりも、毎朝の一杯の味噌汁を啜ることで確実に育まれる。