宇宙詐欺の代表格として社会問題化しているのが、SNSを起点とした「宇宙飛行士ロマンス詐欺」です。捜査関係者の分析によると、加害グループはInstagramやFacebook、X(旧Twitter)などのダイレクトメッセージ(DM)を通じて無作為に接触を図り、数週間から数カ月という時間をかけて被害者との親密な関係を築き上げます。
報道各社の取材や警察庁の発表データから確認できる具体的な被害事例を見ると、犯行グループの手口は驚くほど定型化されており、かつ極めて悪質です。
北海道札幌市では、80代の女性がSNSを通じて知り合った「宇宙飛行士」を名乗る人物から「宇宙船で任務中だが、攻撃を受けて酸素が足りなくなった。酸素の購入費を工面してほしい」と要求され、電子マネー100万円分を騙し取られる事件が発生しました。密室である宇宙空間での生命の危機を訴えかけることで、女性の同情心と恐怖心を強く煽った手口でした。
また、別の地域では60代の女性が「ロシアの宇宙飛行士」を名乗る人物とSNSで親交を深め、「地球に戻ってあなたと日本で暮らしたい。そのためのロケット着陸費用や地球帰還費用が必要だ」と言葉巧みに誘導され、複数回にわたり合計440万円以上を送金させられた事例も確認されています。犯行グループは「NASAから退職金1億円が入る」「海外の巨額資産を日本に移転するための税金対策として夫婦になりたい」といった架空の未来を語り、返済能力があるかのように信じ込ませていました。