診察台の上で突然襲ってくる激痛。「叫びそうになった」「足が竦んだ」という声は後を絶たない。なぜ、これほどまでに強い痛みが生じるのか。
産婦人科医が実施する内診の一環である卵膜剥離は、子宮口から指を挿入し、赤ん坊を包む卵膜と子宮壁の接着部分を物理的に剥がしとる手技だ。日本産科婦人科医会が示す知見においても、この剥離刺激によって局所でプロスタグランジンという生理活性物質が急速に生成され、子宮収縮と頸管の開大が促進されることが分かっている。痛みの正体は単なる擦れではない。狭い子宮口に直接指を入れて膜を剥がす機械的刺激と、そこから起きる急速な組織変化そのものなのだ。
陣痛誘発を目的とした処置としては非常に歴史が古く、有効性も確立している。しかし、痛みの感じ方には個人差が大きく、子宮口の開き具合や柔らかさによっても受けるダメージの感覚はまったく異なる。