くさかんむりの漢字を扱う上で、避けて通れない最大の関門が「画数の数え方」だ。名付け本Aでは「3画」と書かれているのに、名付けサイトBに入力すると「4画」として判定され、姓名判断の総合結果が最高の大吉から最悪の大凶へと転落する。この現象に頭を抱え、夜な夜な検索魔になって憔悴する親は非常に多い。
この画数分裂の根本原因は、「書写画数(新字体)」を採用する流派と、「原字・康煕字典(旧字体)」に遡る流派の教義の違いに存在する。
私たちが小学校で習う現代の常用漢字の筆順では、「一(横)」に「十(縦2本)」を交差させるため、くさかんむりは当然「3画」としてカウントされる。手書き入力や公教育の現場における公式な事実も3画だ。
一方、中国の清代に編纂された『康煕字典』を絶対的な聖典とみなす伝統的姓名判断の流派では、くさかんむりをその起源である「艸(草の原字)」に還元して数える。艸の字は「十」が二つ並んだ形(艹)として「4画」、あるいは原字そのものの画数である「6画」として機械的に置き換えて計算するのだ。
例えば、「花」という漢字を考えてみよう。
- 現代の書写画数:くさかんむり(3画)+ 化(4画)= 7画
- 康煕字典の原字派:くさかんむりを「艸」(4画扱い)+ 化(4画)= 8画
さらに流派によっては艸を6画として計10画で計算する極端なケースすら存在する。つまり、「正解の画数が1つだけ存在する」のではなく、「採用している基準がまったく異なる2つの物差しが存在している」に過ぎない。このカラクリを理解していれば、一方の流派で凶が出たからといって取り乱す必要などまったくないことがよくわかるはずだ。