だが、物理法則の壁を完全に無視できるわけではない。質量が大きい大型SUVや普通車と、車両重量が1トン前後に抑えられている軽自動車が真っ向から衝突した場合、物理的なエネルギー移動はどうしても軽量な側に大きな負担を強いることになる。
警察庁や交通事故総合分析センター(ITARDA)のデータを詳細に確認すると、走行1万台あたりの事故致死率において、軽自動車は普通乗用車よりもわずかに高い数値を記録している。ただし、その差は20年前のような「倍以上の危険性」といったレベルではなく、コンマ数パーセントの僅差にまで縮まっているのが現代の実態だ。
決定的な命運を分けるのは「衝突速度」と「相手車両の重量」である。時速60km以上での正面衝突や、大型トラックに追突された場合のアコーディオン現象においては、物理的なスペースの余裕がある大型普通車に軍配が上がる。軽自動車の安全性が高まったとはいえ、物理的寸法の限界が完全に消え去ったわけではないという現実は認識しておくべきだろう。