人間と病原体の戦いは、科学史そのものと言っても過言ではない。かつて感染症は「悪霊の仕業」や「汚れた空気」のせいだと信じられていた。その暗黒時代に光を射したのが、フランスのルイ・パスツールである。彼は白鳥の首フラスコを用いた実験で自然発生説を打ち破り、発酵や病気が目に見えない微生物によって引き起こされることを証明した。
パスツールの発見を受け、感染症学をさらに飛躍させたのがドイツのロベルト・コッホだ。コッホは結核菌や炭疽菌を特定し、「コッホの原則」と呼ばれる病原体特定の手法を確立した。彼の功績により、人類は初めて特定の症状を引き起こす真犯人を科学的に特定する手段を手に入れたのだ。
彼らが築いた近代微生物学の礎のおかげで、私たちは単なる「病への恐怖」を「科学的な治療の対象」へと昇華させることができた。近代医学の夜明けから今日に至るまで、人類は彼らが拓いた道を歩み続けている。