日本国内で『モンスターズ・インク』が公開された際、日本語吹き替え版でランドールを演じたのは声優界の重鎮、青野武氏だった。『ピッコロ大魔王』や『ちびまる子ちゃん』の友蔵おじいちゃんなど、変幻自在の声色を持つ青野氏の演技は圧巻の一言に尽きる。
青野版ランドールは、スティーヴ・ブシェミの神経質さを踏襲しつつも、どこか歌うような怪しげなリズムを伴っていた。嫉妬心に歪む声の揺らぎや、執念深さを感じさせる低音の引き伸ばし。子供向けアニメーションの枠組みを超えた本物の「悪」の質感が、日本の観客に強烈なトラウマと魅力を植え付けたのだ。