かつて日本の火山は「活火山」「休火山」「死火山」の3つに分類されていた。歴史上の記録に噴火が残っているものを活火山、記録はあるが現在は静かなものを休火山、歴史上まったく噴火記録がないものを死火山と呼んでいた時代を覚えている人も多いだろう。しかし、この旧来の分類には致命的な不備が存在していた。
地質学的な時間軸において、人間が残したわずか数百年から数千年の「歴史記録」などは瞬きの一瞬に過ぎない。実際、死火山と信じ込まれていた山が突如として壊滅的な大噴火を起こす事案が世界中で相次いだ。これを受けて2003年、気象庁は火山噴火予知連絡会の提言に基づき定義を全面的に改定。「概ね過去1万年以内に噴火した火山、および現在活発な噴気活動のある火山」をすべて活火山と定義し直したのだ。
国際的な標準策定を進めるアメリカ地質調査所(USGS)をはじめとする世界の研究機関も、完新世(約1万1700年前〜現在)における活動歴を基準として採用している。休火山という安心感を与える言葉を排し、危険性を正しく評価する方向に舵を切ったことは、日本の防災観測体制における大きな転換点となった。