実際にジムニーをカスタムしているオーナーたちの声を見ると、リフトアップ派とノーマル派、ダウン派の間には明確な価値観の違いがある。整備工場や専門店のブログ、X(旧Twitter)やインスタグラムの施工事例、5chや知恵袋の相談スレッドを横断的に確認すると、以下のような傾向が浮かび上がる。
リフトアップ派からは「見た目の迫力が段違い」「雪深い地域では最低地上高の余裕が命綱になる」といった実利的な評価が目立つ。一方で「高速道路の継ぎ目でふわふわする」「立体駐車場に入らなくなった」という声も一定数あり、特に全高が1800mmを超えると高さ制限付き駐車場の利用が難しくなる。首都圏の機械式駐車場の多くは全高1550mmが上限のところもあり、リフトアップしたジムニーはそもそも入庫すらできないことがある。
ダウン派は「オンロードでの見た目が締まる」「乗り降りが楽になる」といった点を評価するが、同時に「駐車場の輪止めにバンパーを擦る」「雪道で腹を打つ」というリアルな声が散見される。特にJB64の最低地上高205mmは、軽自動車としては破格の数値だが、これを40mm下げると165mmとなり、一般的なコンパクトカー並みまで落ちる。ジムニーらしさをどこに求めるのか、その線引きが曖昧なままダウンすると、実用車としての価値を自ら手放すことになる。
整備現場の職人への取材では、「最近はSNS映えのためにとりあえずリフトアップを依頼する若いオーナーが増えたが、半年後にノーマルへ戻すケースも少なくない」という証言が得られた。改造は情報収集と自己分析を先に、施工はその後だ。