絵空事とは?机上の空論との違いや意外な語源・ビジネスの失敗原因を解明

絵空事とは?机上の空論との違いや意外な語源・ビジネスの失敗原因を解明

絵空事とは?机上の空論との違いや意外な語源・ビジネスの失敗原因を解明について見逃せない 注意点を分かりやすく解説いたします。

大手コンサルティングファームや公的機関の統計によると、企業が新規事業として立ち上げたプロジェクトのうち、黒字化を達成して定着する割合はわずか10〜15%程度に留まり、実に8割以上が撤退・縮小に追い込まれています。巨額の予算と精鋭の人材を投入したプロジェクトが、なぜ最後は「壮大な絵空事だった」と総括されてしまうのでしょうか。

東証プライム上場企業で新規事業開発室長を務めた40代男性は、退職時の手記で生々しい実態を告白しています。
「経営陣に提出する事業計画スライドは、誰もが現場の工数的に不可能だと知りながら、極めて美しく作られていました。『5年で売上100億円』という数字を掲げないと役員審査を通らないからです。役員も内心は無理だと感じていながら、自らの任期中に波風を立てないため承認する。組織全体で『絵空事』を共謀して買い支えていたのです」

こうした構造的欺瞞を招く背景には、心理学および行動経済学における2つの強力なバイアスが存在します。

第一に、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンらが提唱した「計画の誤謬(Planning Fallacy)」です。人間は未来のタスクにかかる時間やコストを見積もる際、過去の失敗事例や突発的リスクを都合よく排除し、最も理想的なシナリオだけを無意識に選択してしまう認知特性を持っています。このバイアスが組織的に増幅されると、どれほど精緻に見えるロードマップであっても、本質的には絵空事と化してしまいます。

第二に、日本企業特有の「心理的安全性の欠如」に伴う同調圧力(集団浅慮:グループシンク)です。SNSやオープンワーク等の企業口コミサイトでも「上が決めた数値目標に異論を挟むと評価が下がるため、全員で実現不可能な数字を追うフリをしている」といった嘆きが後を絶ちません。異論を唱えられない硬直した組織では、不都合な現実データが現場から経営陣に届く前に遮断され、絵空事の風船が破裂する寸前まで膨らみ続けることになります。

池田 達也
著者

池田 達也

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。