関西テレビが制作したドラマ版『学校の怪談』シリーズ(1994年〜1999年のスペシャル枠など)が伝説化した理由は、単なるお化け屋敷的な驚かしではなく、本格的な心理ホラーの文法を子ども向け枠に持ち込んだ点にあります。
当時、演出陣には黒沢清氏、鶴田法男氏、落合正幸氏、矢口史靖氏といった、後に日本映画界やJホラーブームを牽引する名匠たちが名を連ねていました。低予算のテレビ特番という枠組みを逆手に取り、陰影の深いライティングや不穏な環境音、長回しを用いた演出で視聴者を恐怖の底に突き落としました。
中でもネットの反応で圧倒的なトラウマ回として名前が挙がるのが、鶴田法男監督が手掛けたエピソードです。夕暮れの校舎に残った生徒が、誰もいないはずの廊下で等身大の人体模型や怪異と遭遇する緊迫感は、子どもの日常空間である「学校」が一変して異界と化す恐怖を生々しく描き出しました。
また、黒沢清監督回に見られる「説明のない不条理な怪異」も視聴者に深い傷跡を残しました。呪いの理由や解決策が提示されず、ただそこに“異様な存在”が佇んでいるという演出は、当時の小中学生にとって理不尽極まりない恐怖体験となり、放送翌日の教室で熱烈な議論を巻き起こす社会現象となりました。