山田裕貴の演技力が業界内で絶賛される理由は、役柄ごとの「肉体と精神の完全な変貌」にあります。彼を一躍メインストリームへ押し上げた映画『東京リベンジャーズ』シリーズでは、東京卍會副総長・ドラケン(龍宮寺堅)を熱演しました。側頭部を実際に刈り上げた過酷なビジュアル再現だけでなく、静かな威圧感と仲間のために命を張る男の包容力を完璧に体現し、原作ファンからも絶賛を浴びました。
一方で、世界的な大ヒットを記録した山崎貴監督の映画『ゴジラ-1.0』では、特設震天隊の敷島(神木隆之介)らとともに掃海艇「新生丸」に乗り込む青年・水島四郎役を好演。戦争に行けなかったコンプレックスと、命の尊さに葛藤する等身大の若者を瑞々しく演じ分け、作品に深い人間ドラマを付与しました。
アニメ映画『BLUE GIANT』では主人公・宮本大の声優を務め、サックスに魂を捧げる青年の熱狂を声だけで表現するなど、表現者としてのレンジの広さは群を抜いています。「どんな役でも山田裕貴の色に染める」のではなく、「山田裕貴という器を完全に消して役そのものになる」というアプローチが、映画監督やドラマ演出家からのオファーが絶えない本質的な理由です。