志村さんのコントが「ベタなのに古くならない」最大の理由は、コンマ数秒のタイミングと身体表現に対する偏執的なまでのこだわりにあります。本人が生前に語っていた「笑いは緊張と緩和」「アドリブに見せるための徹底した稽古」という哲学が、すべてのシーンに貫かれています。
視覚的な動きだけでなく、SE(効果音)やBGMのタイミングに対しても、音響スタッフとミリ単位の調整を行っていたことは業界内で有名です。太鼓の音ひとつ、タライが落ちてくる角度ひとつ取っても、観客の脳が「面白い」と認識する最速のタイミングが計算されていました。
さらに、チャールズ・チャップリンやバスター・キートン、ローレル&ハーディといった海外のサイレント喜劇を研究し尽くした身体表現(フィジカル・コメディ)を取り入れているため、言葉の壁や時代背景に左右されません。だからこそ、昭和のコントであっても、現代の子供や海外の視聴者が一瞬で大笑いできる普遍性を獲得しています。