外見的な指の比率だけでなく、読者自身の意思決定やコミュニケーションの癖を客観視できるのが思考パターンの心理テストです。この分野の学術的基盤を築いたのが、英ケンブリッジ大学発達精神病理学研究センター長であるサイモン・バロン=コーエン(Simon Baron-Cohen)教授の「共感化・システム化理論(E-S理論)」です。
バロン=コーエン教授は、他者の感情を推し量り適切に反応する共感力(Empathizing)と、規則や法則に基づいて構造を理解・構築しようとする空間認識能力とシステム化能力(Systemizing)のバランスに着目しました。以下の10項目について、直感で「当てはまる」か「当てはまらない」かを数えてみてください。
【思考パターン簡易セルフチェック】
1. 友人が悩みを打ち明けてきたとき、解決策を提示するより前に「それは辛かったね」と相手の気持ちに寄り添う。
2. 機械の故障や家電のトラブルが起きたとき、説明書や構造図を丹念に読み解いて自力で修理・仕組み解明を試みる。
3. 部屋に入った瞬間、誰かが機嫌を損ねているような微妙な空気の変化を鋭く察知する。
4. 地図やカーナビを見るとき、画面を回転させずに北を上にしたまま直感的に現在地と進行方向を把握できる。
5. 映画やドラマの登場人物に感情移入しすぎて、ストーリーが終わった後もしばらく涙が止まらなくなる。
6. スケジュールを立てる際、移動時間やタスクの順序をパズルのように組み立て、最大の効率を追求するのが好きだ。
7. 相手の表情や視線のわずかな揺れから、言葉にされていない本音を読み取ることが得意だ。
8. 車のエンジン音の違い、オーディオ機器の仕様、ガジェットのスペック比較に強い知的好奇心を感じる。
9. 友人と会話するとき、用件を伝えること以上に「その場の楽しい雰囲気や共感の共有」を重視する。
10. 部屋の家具の配置換えをするとき、実際に動かす前に頭の中で立体的な完成図を正確にシミュレーションできる。
奇数問(1, 3, 5, 7, 9)に多く当てはまる方は、他者の感情にアンテナが立つ「共感脳(共感優位型)」の傾向が強いといえます。一方、偶数問(2, 4, 6, 8, 10)に多く当てはまる方は、論理的な構造や規則性を重視する「システム脳(システム優位型)」の傾向を持ちます。両者が同数の場合は、状況に応じて思考モードを切り替えられるバランス型です。
バロン=コーエン教授の調査では、男性の多くがシステム優位、女性の多くが共感優位に位置する統計的偏りが示されました。しかし、教授が著書『最悪の言語障害 自閉症の真実』などでも強調している通り、「共感力に長けた男性」も「システム構築を愛する女性」も数多く存在し、これらは性別の絶対的な境界ではなく、認知のスペクトラム(連続体)として理解されるべき性質です。