武論尊氏を語るうえで欠かせないのが、もう一つの主要ペンネームである「史村翔(ふみむら しょう)」名義の存在です。同一人物でありながら、なぜ長年にわたり二つの名前を使い分けてきたのか、その理由に関心を寄せる読者は少なくありません。
この名義の違いは、主に掲載雑誌の出版社の違いや、作品ジャンル・世界観のトーンによって意図的に切り替えられていました。
「武論尊」名義では集英社を中心に、熱血漢のハードアクションや濃密な人間ドラマ、少年誌向けの熱いバトル作品を数多く執筆。一方、「史村翔」名義では小学館や講談社などの青年誌を中心に、軍事もの、リアリズムを追求したポリティカルサスペンス、瑞々しい青春ドラマなどを手掛けました。作風ごとに名義を分けることで、過密な連載スケジュールを並行してこなしつつ、読者へ異なる魅力のアプローチを提示し続けたのです。