ここで誰もが抱く疑問がある。なぜ世界中で圧倒的な人気を誇るイタリア料理や、ヘルシーで繊細な和食がここに含まれていないのか。答えは「美味か否か」ではなく、選定の歴史的コンテクストと概念が形成された時代背景にある。
イタリア料理の本質は、家庭と地域に根ざした「クチーナ・ポーヴェラ(貧しい人々の料理)」の多様性にある。各家庭の母の味や、各州の郷土料理がベースとなっており、中央集権的な宮廷料理として体系化されるプロセスを歴史的に経ていなかった。パスタやピッツァが世界的に普及したのは20世紀の移民史やポピュラーカルチャーの貢献が大きく、19世紀から20世紀半ばに確立された古典的な「食の三大分類」の時点では、体系的・外交的な国際標準として認識されていなかったのだ。
また、日本料理(和食)も同様に、島国という地理的条件と独自の発展を遂げた美意識に基づいている。2026年の今日でこそ世界最高峰のガストロノミーとして絶大な評価を得ているが、歴史的な世界三大の選定基準は「他国や多民族の食文化を統合・支配し、広大な領域へ拡散させた体系」という帝国主義時代の文化伝播モデルに依拠していた。人気ランキングと歴史的な分類学のギャップは、まさにこの歴史的史実の違いから生まれている。