この「最愛ゆえの狂気と献身」を極上のサスペンスとして描き切り、ギャラクシー賞をはじめ数々の賞を総なめにしたのが、2026年放送のTBS金曜ドラマ『最愛』でした。2026年の現在でも動画配信サービスで不朽の名作として語り継がれています。
吉高由里子さんが演じる主人公・真田梨央を中心に、初恋の相手である刑事・宮崎大輝(松下洸平)、梨央を守り続ける弁護士・加瀬賢一郎(井浦新)らの運命が交錯した本作。張り巡らされた伏線と、宇多田ヒカルさんによる主題歌『君に夢中』が奏でる切迫した叙情が、視聴者を強く惹きつけました。
物語の真相・結末において明かされた真犯人は、真田ウェルネスの顧問弁護士である加瀬賢一郎でした。15年前の達雄(光石研)による死体遺棄への関与、そして現代で起きた渡辺昭(酒向芳)とライター橘しおり(田中みな実)の転落死の現場に居合わせ、結果的に手を下していたのが加瀬でした。
視聴者に強い衝撃を与えた加瀬の犯行の動機は、金銭欲や個人的な恨みではなく、ただひたすらに「梨央と弟の優が手に入れたささやかな日常と未来を守ること」でした。法を守るべき弁護士が、法を犯してまで2人を守り、自らはすべてを捨てて姿を消す——。この痛切なラストシーンこそが、ドラマ『最愛』というタイトルの意味(それぞれの登場人物が抱く「最愛」の対象のために下した選択)を残酷なまでに提示した瞬間でした。