中島歩を語る上で欠かせないのが、明治の文豪・国木田独歩の玄孫という特異な出自だ。文学的な気品とどこか退廃的な陰影を同居させた風貌は、天賦の才と言っていい。大学時代にモデルとして活動を始め、演出家・蜷川幸雄のオーディションを突破して初舞台を踏んだ経歴も、単なる流行のタレントとは一線を画す歩みを示している。
彼が籍を置く芸能事務所「テンカラット」には、独自の個性を重んじる実力派俳優が多く集う。作品選びの確かな審美眼と、安易にプライベートを切り売りしないプロデュース方針は、中島のストイックな表現活動を力強く後押ししてきた。文学的バックボーンと事務所の堅実な戦略が合致し、彼固有のミステリアスな魅力が保護されている。