ネット上の情報には、手軽さを強調するあまり重要な工程を省略した「誤った裏技」も散見されます。もっとも多い誤解が「水溶き片栗粉と卵液を最初から混ぜて一気に流し込めば時短になる」という言説です。
一見、理にかなっているように思えますが、卵液に直接片栗粉を混ぜると、卵のタンパク質が片栗粉のデンプン粒をコーティングしてしまい、スープ全体にとろみが均一につかなくなります。結果として、卵がダマになって硬い団子のようになり、スープはサラサラのまま濁ってしまうという本末転倒な事態を招きます。「片栗粉でスープにとろみをつける」工程と、「溶き卵を回し入れる」工程は、絶対に別個のステップとして処理しなければなりません。
もう一つの盲点は「トマトを煮込みすぎること」です。トマトのフレッシュな酸味と甘みのコントラストを活かすためには、加熱時間はスープが沸いてからわずか1〜2分で十分です。長時間煮込むと形が崩れて濁りの原因になるだけでなく、繊細な香り成分が揮発してしまいます。