物語の中盤、常に息の合っていた二人が決定的な決裂を迎えるシーンは、多くの視聴者に強い衝撃を与えました。その直接のきっかけとなったのは、秋の運動会における白組の騎馬戦です。
大野君と杉山君が組んだ騎馬は順調に勝ち進み、紅組の大将格であるブー太郎やはまじらの騎馬と激戦を繰り広げます。しかし、混戦の中でバランスを崩した瞬間、杉山君が相手に帽子を奪われ、白組は敗北を喫してしまいます。試合後、悔しさに震える杉山君に対し、大野君がつい発してしまった厳しい一言が火種となり、二人は取っ組み合いの大喧嘩へと発展してしまいました。
しかし、この衝突の根本原因は、単なる勝敗の悔しさではありません。児童心理学および精神医学者ハリー・スタック・サリヴァンが提唱した「チャムシップ(前思春期における同性の親友関係)」の観点から分析すると、より深い心理構造が浮かび上がってきます。
9歳から12歳前後の少年期において、子どもは家庭や親から精神的に独立し始める過程で、自分を完全に理解してくれる「唯一無二の同性の友」を激しく求めます。大野君と杉山君にとって、お互いは自分自身の半身とも呼べる存在でした。「こいつだけは自分のすべてを分かってくれているはずだ」という無意識の甘えと絶対的信頼があったからこそ、予期せぬ敗北という挫折に直面した際、相手に対する失望と自責の念が激しい怒りとなって表出したのです。
喧嘩の後、二人は一切口を利かなくなります。謝るきっかけを失い、お互いに意地を張り続ける沈黙の期間は、少年期特有のプライドの高さと、相手への想いの深さゆえの不器用さを如実に物語っています。