地域の文化関係者や長年の利用者の間で、南市民ホールは極めて高い評価を得ていました。当時の評判を振り返ると、何よりも「400席前後という規模の使い勝手の良さ」に支持が集まっていたことが分かります。
「最後列からでも舞台上の子どもの表情が肉眼で見える」「音の返りが適度で、アマチュアの合唱や吹奏楽でも音が散らない」といった舞台空間としての評価に加え、1日単位の利用料金が民間の劇場や大規模ホールに比べて圧倒的に安価に設定されていたことが、市民サークルにとって不可欠なインフラとなっていました。
閉館から歳月が流れた現在も、地域コミュニティからは以下のような率直な声が寄せられています。
「ピアノ教室の発表会で毎年お世話になっていた。グリーンホールの大ホールは広すぎて空席が目立ち、多目的ホールだと250席で出演者の家族全員を収容しきれない。400席という規模がいかに奇跡的なサイズだったかを痛感している」(南区内の音楽指導者・50代女性)
「市民劇団の公演で使用していた。南市民ホールは搬入口から舞台への動線が良く、スタッフの対応も温かかった。同等の規模と費用感で使える公共スペースが区内から消えてしまったのは大きな打撃」(舞台関係者・40代男性)
このように、客観的な数値や利用率だけでは測れない「市民の手作り文化を育てる器」としての役割を失ったことに対する惜別の声は、今なお根強く残っています。