日常的なモラハラ環境において、会話が噛み合わない状況はさらに悪質な心理操作へと発展する。その代表格が、心理的虐待の手法として知られる「ガスライティング」である。
「そんな約束は最初からしていない」「君の勘違いだ」「最近、少しノイローゼ気味なんじゃないか?」といった虚偽の断定を平然と繰り返し、被害者側の記憶や知覚、正気そのものを疑わせるように仕向けていく。この心理誘導に晒され続けると、受ける側は次第に「自分の記憶が間違っているのかもしれない」「自分が怒らせてしまったのではないか」と自責の念に駆られ、思考力を奪われていく。
さらに、逃げ場を失った際に繰り出されるのが「被害者意識を盾にした逆ギレ」だ。第三者から見れば明らかな加害者であるにもかかわらず、「自分こそが被害者であり、周囲から不当に虐げられている」と本気で思い込む。自責の感情を処理する能力が欠如しているため、生じたストレスや不都合のすべてを他者へ外罰的に転嫁しなければ心の均衡を保てない。突然の大声、不機嫌による威圧、沈黙による拒絶などで場を制圧し、相手を萎縮させて無理やり謝罪を勝ち取るのが彼らの常套手段である。