2022年3月17日、講談社から刊行された写真集『CORAL』。沖縄の宮古島を舞台に撮影された同作は、事前の予告段階から「木下優樹菜、全裸ヌード出版へ」というセンセーショナルな見出しで列島を駆け巡りました。水着やランジェリーにとどまらず、手ブラや背中を露わにした大胆なカット、布一枚を隔てただけのフルヌードを想起させる構図は、従来のファンのみならず一般読者にも強烈なインパクトを与えました。
写真集の出版理由として、本人が公に語った公式見解は「34歳という年齢を迎え、女性として、人間として成熟した今の自分の身体を形に残したかった」という美意識とセルフ表現の追求でした。大手出版社である講談社側としても、芸能界を引退したとはいえ圧倒的な知名度とSNS発信力を持つ彼女の話題性は、低迷する紙の出版市場において確実な実売が見込める大型コンテンツと判断された側面があります。
しかし、出版業界関係者やカルチャー誌記者の間では、より現実的な側面が指摘されていました。それは、タピオカ騒動と芸能界引退に伴う経済基盤の再構築です。テレビ出演による莫大なギャラを失い、さらに訴訟を抱える中で、講談社からの本格的な写真集オファーは、まとまった契約金を得ると同時に「過去の騒動のイメージを上書きする起爆剤」として機能する側面がありました。単なる露出ではなく、アートとしての写真集というパッケージを通じて、クリエイティブな分野へ軸足を移すための戦略的な布石だったといえます。