彼が結婚に対して慎重になる最大の理由は、多忙を極める舞台スケジュールと表現者としての飽くなき探究心にある。大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で見せた落語家・三遊亭圓生役の圧倒的な存在感や、時代劇での繊細な演技は記憶に新しい。テレビドラマを通じて伝統芸能の魅力を広く一般に知らしめた功績は大きい。
また、父の遺志を継ぐ『平成中村座』の公演では、立ち回りから客席との一体感を生み出す演出まで八面六臂の活躍を見せる。特に現代歌舞伎における最高の女方として、指先の先端にまで神経を尖らせる役作りに妥協はない。年間を通じて全国を巡業し、芸を磨き上げる日々の中で、プライベートの時間を確保すること自体が極めて困難なのが実情だ。