氷川きよしの活動休止を巡っては、当時から様々な説が飛び交った。「深刻な病気ではないか」「事務所と対立して干された」「実は引退を考えている」。その多くは根拠のない匿名掲示板発の情報であり、現在も一部で信じる人が後を絶たない。しかし、復帰後の本人の発言や公式情報を突き合わせると、これらの噂はことごとく事実と異なることがわかる。
まず健康状態について。2026年2月に放送されたNHKの単独インタビューで、氷川は「大きな病気をしたわけではない。ただ、2019年頃から自分自身の内面と向き合うことができなくなって、心のエネルギーが枯渇していく感覚があった」と告白した。これは、いわゆる「演歌のプリンス」としての男性性を強制される表現への違和感と、それに対する観客の期待に応え続けることへの消耗だったと、複数の芸能評論家が分析している。
実際、氷川は2026年代に入り、性別を意識させない中性的なファッションや、メイクを取り入れたビジュアルを公の場で見せ始めていた。この変化を「奇抜な路線変更」と否定的に捉える声もあったが、本人が2026年の復帰会見で「やっと自分の心に嘘をつかなくていいと思えた」と語ったことからも、長年の内的葛藤が背景にあったことは明白だ。活動休止は「逃げ」ではなく、「自分を殺さないための選択」だったのである。