日本国内で名実ともにトップスターの座に君臨していた伊藤英明が、あえて安定したポジションを脱ぎ捨てて踏み出したのが「アメリカ・ハリウッドへの本格進出」でした。40代を迎えてから本格的に英語学習を始め、語学留学のために渡米。文字通りゼロからのオーディション生活を経験しています。
その執念が結実した代表例が、名匠マイケル・マン監督がエグゼクティブプロデューサーを務め、WOWOWと米Max(旧HBO Max)が共同制作した超大作ドラマシリーズ『TOKYO VICE』です。渡辺謙やアンセル・エルゴートら日米の豪華キャストが顔を揃えるなか、伊藤は裏社会と複雑につながる悪徳刑事・宮本役を怪演。流暢な英語の台詞回しはもちろん、体躯の大きさと眼光の鋭さでハリウッドの一流スタッフを唸らせました。
撮影現場に立ち会った制作関係者は次のように証言しています。「現場での伊藤さんは、日本での輝かしい実績を完全にリセットしていました。監督からのハードな要求に食らいつき、テイクが重なっても集中力を切らさない。自身の身体能力の高さを活かしながら、海外のクルーと対等にディスカッションする姿は、まさに一人のタフな国際派アクターそのものでした」。言葉や文化の壁に怯まず、泥臭く挑戦を重ねた経験が、現在の彼の骨太な演技に揺るぎない説得力を与えています。